センサーを通じて伝統技能を科学する。

伊東 里香 (2006 年度機械B進学 廣瀬・谷川 研究室所属 修士課程 2年)
ひとこと

学科選びは一生を左右する選択の一つだと思いますが、この先も岐路はたくさんあります。学科の情報だけでなく世の中すべての情報を大事にして、自分のやりたいこと、目指すことを普段から探すようにしてください。

伝統技能をデジタルアーカイブ化する

 「截金」という、重ね合わせた金箔を細く直線状に切り、それを張り合わせて文様を創る伝統技能のデジタルアーカイブ化の研究に取り組んでいます。截金に必要な力の出し方を脈波、筋電計測を行い、データ化しています。データ化した情報を用いて、無理なく学べて無理なく集中して作業を行えるシステム作りを目指したいです。東京藝術大学との共同研究であり、截金の技術を継承した方に協力していただき実験を行っています。

 元々は脳波を読み取り、集中を促すシステム作りの研究をしていました。この時身につけた脳波計測の技術や、データ管理のノウハウは、今の研究に活かされています。

センサーだけでなく、伝統技能の勉強もかかせません。

人が幸せになるシステムを作りたい

 私は人が幸せになるようなロボットやシステムを作りたいと考えていました。例えば日常生活の支援をするロボットや、人の会話を理解し、身の上相談ができるような人工知能などです。そういった研究開発を積極的に行っている学部を探した結果、機械Bの存在を知り、選択しました。

 機械Bに入る前、プログラミングなど難しそうだと思っていましたが、わからないことは先輩が教えてくれるので安心しました。頑張っている人を評価して、サポートしてくれる学部ですね。

截金の練習。熟練者と初心者の違いを見ることも重要な研究です。

自分で考えて研究に取り組む

 廣瀬・谷川研究室はバーチャルリアリティ技術やインタフェース技術を世の中に役立てることを研究テーマとしています。その中で、脳波でコンピュータを操作するBCI(Brain Computer Interface)というシステムに魅力を感じ、この研究室を選びました。最先端の機材が揃っており、自由に研究に取り組める環境なので、大変満足しています。先生方は主体性を大切にしており、自分で考えて取り組むことが求められます。大きな判断も自分で下すこともあるので大変ですが、この2 年間で成長できたなと実感しています。

 卒業後はできるだけ多くの人に関係する仕事をしたかったので、インフラ系の企業に就職予定です。将来的には何らかの形で人間の感情、状態にリンクしたシステムを仕事でも実現できたらと思っています。