音で世界をつくる:Audio Reality。

木村 健太郎 (2008年度機械B進学・廣瀬・谷川研究室 修士課程1年)
ひとこと

自分の趣味を全力全開にしていけば自ずと自分の方向性は定まっていくと思います。

映画やアニメの登場人物から直接、話しかけてもらいたい

 高校生の頃からギターを弾きはじめて,大学ではバンドをやっていて音楽が大好きだったので、音に関係する研究がしたかったんです。研究室に入って、超音波スピーカという変わった特性を持ったスピーカと出会えたので、これで何かができるのでは、と思って今の研究テーマを決めました。超音波スピーカに出会ったときにこういうことに使えるかなと思いついたアイデアを、実際にいろいろと試してみると、そんなに簡単ではないというのがすぐにわかったのですが、先生がたや周囲の人たちに相談しながら、試行錯誤することでうまく研究を進めることができました。今は、超音波スピーカを使って、大画面スクリーンのいろいろな位置から音を出す研究をやっています。映像に合わせた位置から音がすると、操作が簡単になったり、リアリティが増したりします。ただ、自分の正直な気持ちとしては、映画やアニメに出てくる登場人物が、直接話しかけてくれたらいいな、と思ったので、こういう研究をしています。
 
最近では超音波スピーカの特徴である、聞こえる範囲を限定できるという点を活かして、いろいろ遊んだり試したりしています。そうやって試しながら考えていくと、他の人の反応もいろいろ返ってきて、そこから新しい研究のアイデアも出てくるし、実験をやると楽しいですね。他の人から返ってきたリアクションが楽しかったからというのが自分の中では大きくて、修士でも音の研究を続けています。

超音波指向性スピーカ(左)を使って、開発中のパラボラ(右)にあてて音を拡散させる研究をしています。

使っている人の楽しみや体験につながる物を作りたい

 機械Bに入ったきっかけは、触れる機械、目に見える機械を作りたかったからです。自分が関わったところが直接、使っている人の楽しみや体験につながる部分をやりたかったから、ですかね。PCを使って、Webサイトやゲームを作ったりしていたこともあり、そういう経験を活かして何かを作りたかったというのもあります。
 機械Bに入ってみて,機械系全員で一緒に授業を受けられたことが大きなメリットだったなと感じます。普通なら自分の専攻の先生としか会わないところが、授業などを通して機械Aの先生がたと話したりできるのが良かったです。私の場合は機械Bでソフトウェア的な側面を中心に勉強していたなかで、ハードウェアを専門にしている先生など、方向性の違う先生とのつながりができて視野が広がりました。そのつながりで現在、デザイン系の会社でインターンまでさせてもらっていて、ありがたいと感じています。


研究室でも周りの人たちにいろいろ相談しながら研究をすすめています。

人に恵まれた環境

 廣瀬・谷川研究室に入った理由は、コンテンツやエンタテインメントについて本気で勉強したいと思っていて、その上でどういう世界が見えてくるかを知りたかったからです。機械Bに入ってから、同学年の人のレベルを見て、「えー、すごい」と思っていたのですが、研究室に入ってからは何でもできる先輩がいたり、さらに驚くことばかりでした。膨大な機材があり、それを使いこなす先輩達がたくさんいます。作りたい物が作れる、という良さもあります。色々できる人が周りにいて、その人たちから刺激を受けたり、相談に乗ってもらったり、とても人に恵まれた環境だと感じています。
 
例えば学部4年生の10月に、羽田空港でパブリックアート作品を展示する機会がありました。研究室が関わっているプロジェクトに自分も関わることになり作品を制作したのですが、制作する上でさまざまな制約が多く、さらにスケジュールが厳しかったのでかなりの修羅場を経験しました。ただ、3年生の演習の自主プロジェクトで、自分でやることを決めてスケジュールを管理し、自分のものを作り上げるという経験をしていたことが役に立ったように思います。その時も軽い修羅場を経験していたので、動じずにいることができたという面もあるかもしれません。羽田空港のプロジェクトには先輩や同級生なども一緒に取り組んでいたので、何とかなるだろう、という気もしていてそこまで不安はなく、実際、きちんと展示することができました。
 
卒業論文のときも、自分が提案したシステムはとても一人では作れないと思っていたのですが、多くの人が協力してくれて完成させることができたので、こんなものまでできるんだな、と感じたりしました。できあがったシステムの評価が高かったときはかなり嬉しかったですね。