工学的な知識を応用して脳を研究する。

磯口 知世(2007年度機械B進学 神崎・高橋研究室所属 博士課程1年)
ひとこと

学科選びの際には、研究室見学のできる授業や、ゼミなどを積極的に活用すると良いと思います。学部や学科ガイダンスでは聞けない、具体的な研究・作業の様子を見ることで、自分の興味に合った内容が見つけやすくなるかもしれませんよ。

音に対する脳の情報処理システムを解明する

 色々な音を聞かせた時の、哺乳類の聴皮質における神経活動の研究をしています。もともと音楽鑑賞・演奏が趣味なので、卒業論文に取り組む際には、自分が一番興味のあった和音を題材にして、聴皮質の神経活動を計測・解析しました。その後、修士課程から現在にかけて、喜びや恐怖といった情動を連想させる音に対する情報処理システムについて研究をしています。

工学と神経科学、両方の学会に参加でき、とても有意義です

機械工学と神経科学の融合

 学部4年から現在まで、駒場第Ⅱキャンパスにある、神崎・高橋研究室に所属しています。神崎研では、昆虫・哺乳類を対象とした神経科学の研究が行われています。神経活動の計測に使う電極や、実験装置の一部、昆虫の行動を応用したロボットなどを自作することもあります。計測機器の工学的な特徴に詳しいことは、大きな強みになります。また、膨大な量の神経活動の解析には、機械学習や周波数解析といった工学的な手法を用いることもあります。このように、機械Bで学んだ工学的な知識は、神経科学の分野においても大いに生かされています。
 一方で神経学的な知識も必要になりますが、こちらに関しては、豊富な知識を持った研究室の先輩や研究員の皆さんに、熱心に指導して頂けるので心配はありません。また、研究室にはコアタイムもなく、とても自由な雰囲気なので、のびのびと研究に打ち込んでいます。


趣味でつくったクマ (?) のぬいぐるみ。手芸も立派な「ものづくり」です。

「ものづくり」が好きなら、機械B!

 大学入学当時はロボットに興味があり、機械Bに進学しました。回路のはんだ付けやプログラミングなど、ほぼ未経験な状態で進学しましたが、機械Bでは、力学・機械設計、プログラミングなど、「ものづくり」に関わる広範囲の知識を基礎から学ぶことができました。さらに、授業で得た知識は、並行して行われる演習で実際に応用できます。これらをこなすことは、「作りたいものを自力で作れる」という自信につながっていったのだと思います。現在はものづくりから少し離れていますが、将来、例えばBMI(Brain Machine Interface; 脳介機装置)といった分野を研究したくなった時には、製作にも是非関わりたいです。