ロボットが世界を理解する仕組みを作る。

金崎 朝子(2006年度機械B進学 國吉・原田研究室所属 博士課程2年)
ひとこと

私がこの学科に進学したときは、プログラミングって何?という状態でした。ロボットの知能を研究したいという漠然とした気持ちだけでこの学科を選びましたが、今ではここを選んで本当によかったと思っています。熱意があれば何でも実現できる場所だと思います。

ロボットの目をつくるー三次元世界の認識

 いま自分がどこにいるのか。ロボットに自己位置の数値座標を持たせることは容易です。しかしながら、ここが地球上の日本という国であり、大学キャンパスであり、研究室の中であり蛇口の前である…といったように、自分の置かれている環境をロボットが「理解」するためには、もっと高次の意味情報が必要となってきます。
 そのために私は、色距離センサを用いて実環境を三次元的に復元し、得られた三次元地図の中の「どこにどんなものがあるか」を認識するという研究を行っています。センサから得られる環境の物理情報から、「本棚」「花」などの意味情報を想起させることで、ロボットが人間のように世界を知覚できるようになることが狙いです。
 三次元認識はまだまだ新しい分野なので、自分にどんなことができるのか、いつもわくわくしながら研究しています。

中央にあるのが認識装置、周りを囲んでいるのが認識対象物体です。

何にチャレンジするも個人の自由!

 私の所属する國吉・原田研究室はなんと言っても自由な空気です。週に1度の研究会と輪講以外にコアタイムはなく、時間を自由に使うことができ、最近は御殿下でのエアロビ等に何人かで連れ立って行っています。気になる研究トピックの勉強会を開く等も自由です。
 それから私はD1の冬に3ヵ月の間、ドイツのミュンヘン工科大学の研究室で滞在研究を行いました。国際学会に出した論文を読んでくれたドイツの研究者からメールをもらったのがきっかけで、私もその研究室に強く興味を持ち、気づいたらドイツに来ていました。たくさんの人と議論し、友達になり、彼等とはSkypeなどで今も研究の話や雑談をする仲です。このような素晴らしい体験の機会を与えてくれたこの学科に、心から感謝しております。


ドイツでの滞在研究、クリスマスパーティは共同研究者のお宅で。

可能性に満ちた刺激的な学科

 この学科の研究室を覗けば、どこも研究テーマや雰囲気ががらりと異なることに驚くのではないかと思います。人間の脳を研究する人もいれば新しいデバイスづくりをする人もいるし、同一研究室の中でさえ個人個人が非常にバラエティに富んでいます。「機械情報工学」という研究分野がそれほど様々な可能性に満ちた分野だから、といえるのではないかと思います。
 このため、研究室に配属されればまず最初に「自分が何を研究したいか」についてとことん考えさせられます。(研究テーマを先生から与えられるということはほとんどありません。)その結果として真にやりがいを感じる研究を遂行することができ、周囲の仲間からは様々な考え方や実現方法を学ぶことができるので、とても刺激的な毎日を過ごすことができます。